音楽が聴こえる
お気楽野郎ドモめ。

ガンと音を立てて、俺の椅子に座ると二人は目を上げた。

俺を見て、二人は苦笑しあう。

「……気持ちわりーな、二人して何だよ」

「地味先モトイ香田ちゃんのところに行ったんだろー? ジュン君」

山路はツンツン頭で俺の肩を軽く頭突いて来た。

ああ? 誰が香田ちゃんだよ。

お前だって、地味先って呼んでたじゃねぇか。

「本返して来ただけ」

「へーえ? 随分気にするじゃーん」

山路がニヤけるのが無性にムカついたから、一発お見舞いしようとしたら、斗夢の方が先に雑誌で山路の頭を叩いた。

「馬鹿。お前、からかい過ぎ」

斗夢はハエ退治でもしてるような、強烈なスマッシュを決めた。

「痛ってぇーっ」

「あ、悪りー。力の加減間違えた」

身悶えして痛がる山路に、マイペースな斗夢。

「あれ? 謙二は?」

「さっき、悟さんからメールがあったらしくてよ、電話しに行ったぜー」


悟さんか……。

俺は机に頬杖を付いて。

ライヴハウスでの、あの悟さんの眼差しを思い返していた。

< 66 / 195 >

この作品をシェア

pagetop