音楽が聴こえる
他の子達も、いつも斉賀とつるんでる奴等。
……へぇ。
ここがこの子達の居場所で、キラキラしちゃってる訳か。
でも、余りにも嬉しそうに眺める悟の横顔に、チクリ。……胸が傷んだ。
あんたは、ここで良いの?
あたしは軋む椅子から立ち上がり、おもむろに時計を見た。
21時03分。
あたしの拘束時間は終わりだ。
「何だよ、帰んのか?」
「今日の任務終了。あたしは何も見てない」
「ユルユルの見回りご苦労さん」
悟は煙草を持った片手を挙げて、イヤミ臭く笑った。
演奏途中で帰るマナー知らずのあたしに、機嫌が悪くなったらしい。……分かりやすい奴。
「未成年の飲酒は提供した方も罰せられまーす。悟の場合、インコーもご注意下さいませ、だね」
「……バカ野郎、早よ帰れ」
「んで。冷蔵庫、何か入れとく?」
その一言であたしの言わんとしてることは分ったようで。
悟はあたしの背中越しに「おう」とだけ返事を返した。