音楽が聴こえる
多分高城の脳裏には、この間のライヴのイメージが残っているんだと思う。

その上、視聴覚室での音を絞った練習は、音のバランスが取りにくいから、自信が揺らぐのだ。

本番に近い、音出しをさせてあげたい。

悟が巻き込んだんだから、あいつも責任を取ってこの子達の面倒を見るべきっしょ。

「たまにはライヴハウスで音合わせしよう」

あたしはその場の勢いで、悟に連絡を取った。

悟は3コールで電話に出た。

「明後日の朝は、ライヴハウス空いてるよね?」

『……おや、茉奈ちゃん。挨拶抜きか』

「ゴキゲンヨウ。悟サン」

『……んなに、良くもねえよ。お前、起こせって言ったのに、酷えよな』

「良く言うわ、こっちこそ眼鏡は無いは時間は無いは、酷いめ見たっての」

ゴホッ、ンッンッ。

高城のわざとらしい咳払いで、自分ひとりで無いことを思い出す。

「悟サン、今、高城君と話しをしているんだけど。明後日土曜にライヴハウス、午前中だけでも使いたい」
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