音楽が聴こえる
話しがある、と言われると無下に振り払うことも出来ねえ俺。……ユージューかよ。

梨花に腕を取られたまま歩き出した。

暫く付いて行くと、Eの字型の校舎の人気の無い外階段まで連れてこられた。

四時限目のチャイムが無情の音を鳴らす。

……俺、遅刻じゃね。
次の授業って何だっけ。


梨花はくるりと反転し俺を見上げたまま、階段に腰を下ろした。

「ここね、誰にも見えないの」

ニコッと微笑む梨花に、軽くウンザリしながらコーヒー牛乳にストローを刺した。

「話しって?」

俺は梨花のすぐ隣りには座らず、少し距離を置いた二、三段上の階段にケツ下ろした。

その様子に梨花はフテリを入れる。

「もうっ。ジュンヤ、冷たい」

梨花は俺のとった距離に不服の声をあげ、俺の股の間に自分の体をねじり込む。

「……何なんだよ。俺、汗臭いぜ?」

俺の言葉に、梨花は小さな笑い声を立てる。

「エッチしてる時と同じ匂い」

梨花は俺に体を預け、しなだれかかって来た。
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