音楽が聴こえる
「ねーえジュンヤ、今日の放課後、練習見に行って良い?……実はね、クラスの子達と約束しちゃって」

ーー ああ、そー言うことかよ。


俺達の練習は、部外者立ち入り禁止になっている。

気が散るし、完成形以外は他人に見せるつもりもねえし。

「無理」

「えー? そんなこと言わないで。お願い」

梨花は俺に感触を思い出させようとしてるのか、でかい胸を俺の胸元に刷り寄せた。

「イヤだね。……大体お前、そんなことぐらいで体使ってんじゃねーよ」

梨花は大きな目を更に見開いて、懇願の表情を浮かべる。

「どうしてもダメぇ?」

「……クドイ」


俺の低い声で、ようやく諦めたのか溜息を吐いた。


「じゃーあ、諦める代わりに、ここで遊ぼ?」

密着していた体を少しだけ離し、今度は俺の口元を舐め上げた。

「ジュンヤ、コーヒー牛乳の味」

梨花の体から、香水の匂いが漂う。
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