音楽が聴こえる
side ジュン
◆◆◆
ステージの上からは案外、人の顔が見えるってもんで。
舞台袖で出番待ちをしていると、壁際の一番後ろを陣取った、異色の女が見える。
明らかに浮いてます、な女。
地味な黒っぽいパンツスーツに、キラリと光る銀縁眼鏡。
「あいつ、国語の香田(こうだ)じゃん?」
ドラムの斗夢(とむ)がスティックをクルクル回しながら、香田のいる方向を指した。
「おー、相変らず地味」
ギターの山路(やまじ)はウンザリした顔をする。
「見回り中なんだよね、全然やる気無さそうだけど」
ベースの謙二(けんじ)は、苦笑いを浮かべた。
調子狂うな、と俺は心の中で呟く。
香田の授業はやけに寝心地が良い。
教科書を読む声が、いつも俺の子守歌代わり。
少し低くてハスキーで。
こいつらには死んでも言えないが、セクシーにすら感じる時がある。
……まぁ、本人見ると萎えるけど。
ステージの上からは案外、人の顔が見えるってもんで。
舞台袖で出番待ちをしていると、壁際の一番後ろを陣取った、異色の女が見える。
明らかに浮いてます、な女。
地味な黒っぽいパンツスーツに、キラリと光る銀縁眼鏡。
「あいつ、国語の香田(こうだ)じゃん?」
ドラムの斗夢(とむ)がスティックをクルクル回しながら、香田のいる方向を指した。
「おー、相変らず地味」
ギターの山路(やまじ)はウンザリした顔をする。
「見回り中なんだよね、全然やる気無さそうだけど」
ベースの謙二(けんじ)は、苦笑いを浮かべた。
調子狂うな、と俺は心の中で呟く。
香田の授業はやけに寝心地が良い。
教科書を読む声が、いつも俺の子守歌代わり。
少し低くてハスキーで。
こいつらには死んでも言えないが、セクシーにすら感じる時がある。
……まぁ、本人見ると萎えるけど。