音楽が聴こえる
悟がご飯を食べてシャワーを済ませた間、いつの間にか転た寝をしていたらしく。
クッションに顔をうずめたままの変な姿勢で体が固まっていた。
腕を揺すられた感覚でぼんやりと目が覚めた。
「そんなところで寝んなよ」
「ん……サンキュ。うう……」
首にタオルを引っ掛けて上半身裸の悟は、小さな唸なり声を上げたあたしの顔を覗く。
「どうした?」
「肩が……痛…い」
「年寄りかっ」
悟に頭を叩(はた)かれ、更に声が漏れた。
「色っぽい声出してんじゃねぇよ」
「痛い……」
彼は、仕方ねえな、と笑ってあたしの膝裏に手を差し入れた。かと思うと、いとも簡単にひょいと持ち上げ、歩き出す。
「ひっ、ヤダッ」
突然浮いたあたしの体は、バランスを求めて勝手にバタ付いた。
「運んでやっから暴れんな。ベッドで肩くらいほぐしてやるよ」
この抱っこ、超恥ずかしい……。
余りに恥ずかし過ぎて、悟と目が合わないように顔を背けた。