音楽が聴こえる
「何照れてんだよ」

「違うわっ」

いや、違わないか。

悟はベッドにあたしを下ろし、テレビを消しにいった。

ごろりと横になった広いベッドの上で、あたしは小さく丸くなる。

広すぎるベッドは未だ落ち着かないけど、これは好き。

悟の整髪料と煙草の匂いが微かに香る枕へ、自分の顔を押し付けた。


少し甘くて、切ない気分になるけど。


「まだ痛いんか」

背中を向けたままのあたしが何かを答える前に、ベッドのスプリングが彼の重みで揺れた。

次の瞬間には悟の片手がするりとTシャツの中を撫で、ブラのホックを外す。

「こんなん外しとけよ」

「片手で外す技術とか要らなくない?」

一応マッサージしようと言ったのは本当らしい。強すぎない力で、あたしの肩を擦るようにほぐし始めた。

「折角培った技術だかんなー。使わねぇと腕が落ちんだよ。楽器と一緒」

「……んん? 一緒にするな」

三十近くてこれだもん。
十八歳の高校生なんか……。
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