音楽が聴こえる
『……訳分かんね。こーゆーの、上に報告しなくちゃいけねーんだろ』

集め終わったノートを胸に抱いて立ち上がると、あたしが斉賀を見下ろす形になった。

『ははは。斉賀君と朝田さんがエッチなことしてました、って? 君達の性的衝動には興味無い。……じゃ、ノートありがとう』

『なぁっセンセ!!』

あたしが歩き出そうした時、斉賀の声に引き留められた。

『ライヴハウス……センセーが交渉してくれたのか?……悟さんに』

『ノーコメント』

高城がなんか言ったのか?

ノーコメントは肯定とも取れるけど。

交渉なんて、デカイことはしていない。

ただ電話を一本掛けただけ。

少し情が移ったらしい君達が君達の音を出せるように。



「……んだよ、その笑い」

悟のベッドの上で、あたしは昼の出来事を思い返していた。

「悟も高校生の時、色んなコと遊んでたよね」

斉賀達のシーンを見た時、悟のことを思い出していた。
昔のやんちゃな頃の悟を。
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