音楽が聴こえる
俺達はライヴハウスのドアの前、普段の学校じゃありえねぇくらいの勢いで集合し、悟さんと香田を待っていた。
俺の中でそれは、悟さんと香田は一緒に来んのかとか色んなことが廻っては、くだらねぇと打ち消す奇妙な時間。
九時を少し回ったところで、悟さんが階段を下りて来た。
その姿は足を引き摺るようでもあるし、まさに不機嫌を絵に描いたようで正直ビビった。
他のメンバーをチラ見すると、皆の心中も一緒だったらしい。
ガチガチに固まっている。
謙二でさえ挨拶するのを躊躇っているくらいだ。
その後ろから、いつもよりずっと若く見える香田がひょこりと顔を出す。
そりゃあ学校でもねぇ休みの日にスーツ着て来るわけねえんだよな。
意を決し礼を言う謙二へも、反応の薄い悟さん。
や、マジでヤバくねぇの?
香田、もしかして無理矢理頼んだとか?
こっちの心配なんてお構いなしの香田は謙二へ話し掛け、俺達をステージへと促した。