White Magic ~俺様ドクターの魔法~
Magic10 喧嘩
最近、瞬さんとは、都合が合わず、一緒に過ごす時間がない。
診察に来る水曜日には顔は見ることはできるが、会話という会話はしていない。
そんな生活がかれこれ1ヶ月が続いている。
瞬さんは、明日から学会のため1週間静岡へ行くことになっている。
そして、今日は土曜日だが、残念ながら、彼は夕方から仕事らしい。
まぁ、会えないのは仕方がない。覚悟はしていたから。
あぁ、あと1週間は会えないな・・・・・・。
仕事がお昼で終わり、更衣室で着替えていると、スマホのバイブが鳴った。
【もう仕事終わった?今日、仕事がなくなったから会えるんだけど。】
ほんまに?
自然と口元が緩むのがわかった。
私は着替え終わると今にもスキップでもしてしまいそうな足取りで病院を出ようとした。
病院を出たら、バスに乗り、瞬さんの家の最寄りのバス停で降りる。
スーパーを通り過ぎてコンビニを曲がったら見えてくるグレーの建物に入り、エレベーターで5階まで行って、1番奥のドアを開けると・・・・・・あの笑顔が待ってる。
あぁ、早く行こう!
そう思い、少し走ろうかと思っていたら、前から必死な表情で電話をしている上野山さんが前からやってきた。
「先生、お願いできませんか?」
電話越しなのにペコリ、ペコリと頭を下げている彼を見て、状況が把握できた。
また、当直の依頼をしてるんやな。
当直に入ってくれるドクターと交渉することも事務次長である彼の仕事である。
それは、なかなか大変なようで、結構な高い割合で、友人である瞬さんに声がかかる。
最近では、火曜日と土曜日の夜は、うちの病院の当直に入っている。
まぁ、看護師的には迷惑な話なんだろう・・・。
うちの病院に来るようになって4ヶ月。
彼の仕事ぶりは少し変わった。
少しだけ丸くなった。
とは言っても、やっぱり、うちの病院にくるのはイライラするようで、よく愚痴を聞かされる。
「お前、あいつらちゃんと指導しろよ!」
「そんなこと言われても、ほとんど先輩だし!」
そんな会話を何度となく繰り返した。