White Magic ~俺様ドクターの魔法~
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「佐々木先生先生、回診お願いします」
いつものように無愛想にナースステーションは現れた。
彼は私の言葉に「今日はあんたか」と言うと、ナースステーションを出ようとしていた。
その時、笑っていたように見えたのは、私の見間違いだったんだろうか。
「今日は、20人の回診をお願いします」
私は、はじめの人のカルテを持ち先生の隣に立ちお願いすると、「はい、はい」となんともじゃまくさそうな返事をした。
「北村信吾さんです。急性肝炎のため12月10日から入院されています。こちら血液データです」
そう言いながら最新のデータを渡した。
「あっ、ありがとう」
うわっ、お礼を言った!
私がそんなことを考えながら真剣にデータを見る先生の横顔を見ていると、目の前の患者は空気も読まずに話しかけてきた。
「今日は、ももちゃんが回診に来てくれて嬉しいな」
満面の笑みで言う北村君に、同じ部屋の患者さんも口を揃えて話し出した。
「北村君は、本当にももちゃんが好きなんやね」
「ずっと、ももちゃんの話ばっかりしているんやで」
「田村さんも根来さんも言わないで下さいよ~」
と3人で盛り上がっている。
「血液検査の結果も良くなっているので、副院長先生に報告しておきます。退院を検討してもらいますね」
佐々木先生は、非常勤なので、退院許可などは消化器外科担当の副院長が決める。
「え~退院?もっとももちゃんと一緒にいたいなぁ」
「まぁ、とにかくもうすぐ退院ですね」
北村君の言葉を無視するように佐々木先生は言い放つと、病室をあとにした。