White Magic ~俺様ドクターの魔法~
******
「睦美、起きろ~!」
あぁ、また寝てしまったんやね?
私が体を起こすと、目の前には、不機嫌そうな瞬さんの顔。
「えっ、怒ってる?」
あれ・・・・・・私、いつ寝たんやろう・・・
お風呂に入って・・・確かお姫様抱っこでベッドに連れて来られて・・・
それから??
記憶がない!!
「そりゃ、怒るやろ!まだ何もしてないのに、寝てしまうんやからな!」
「えっ?」
そう言えば・・・ベッドに押し倒されて・・・耳元で「好きやで」とか言われてたらい分が良くなってきて、寝てしまった?
「思い出した?」
「はい、すみません」
「今日は、疲れてるみたいやから帰れ」
「だって、帰って来なくていいって言われてるのに・・・」
「泊っていいって言われて、ちゃんと家に帰したら、印象良くなると思わへん?御両親には、好青年で売っていきたいから」
なぜかさわやかな笑顔をして、口にしたのは、まさに詐欺師の言葉。
「詐欺師」
「なんとでも言え」
「・・・・・・じゃぁ、今週末は泊っていい?」
さっき、甘えて欲しいって言われたので、実行してみた。
「いいけど、朝まで寝かせないから覚悟しておけよ」
「えっ・・・」
「やっぱり、やめるはなしな」
・・・・・・やっぱり逃げ道もなくされた私の負け。
でもこうやって話をすることができてよかった。
あのまま離れてきたら、きっと後悔するもん。
ずっと一緒にいてくれるよね?
「あっ、池内さんが『佐々木先生って患者さんに対してあんなに優しい声を出すんですね』って言ってたよ」
「池内?誰それ?」
「昨日、夜診にいた事務の女の子よ。肩くらいの髪で目がクリッとした美人の」
私が説明するも、彼はピンときていないようだ。
しかし、しばらく考えると思い出したのか、
「あぁ、あの子か」
と、さほど興味なさそうに言った。
「あんな美人なのに、興味ないの?」
池内さんが、瞬さんを見る目が変わったとわかった瞬間から気になっていたこと。
「ないね」
あまりにもはっきりと言い切ったことに驚いた。
「俺は、睦美の方が美人だと思うけど?」
「いやいや、それはないよ。池内さん、目鼻立ちは整ってるし、目はパッチリと大きいし、睫毛なんてめちゃくちゃ長いんだよ?エクステとかじゃく、自毛だよ?スタイルもいいしさ。私より若いしさ」
私が熱弁するのをたまに笑みを零しながら見ている瞬さんは、私が話し終わるとこう言った。
「周りの奴がどう言おうと、俺の中では睦美が1番可愛いし、美人だと思ってる。スタイルだって負けてないと思うけどな」
そして、耳元でこんなことを言うんだ。
ーーー抱き心地も最高だしなーーー