White Magic ~俺様ドクターの魔法~
Magic11 勘違い
「お疲れ様でした」
今日も仕事が終わり病院を出て、いつものようにバス停まで歩く。
しかし、最近、この帰り道で異変を感じている。
―――誰かに付けられてる―――
後ろを振り向いても誰もいない。
でも、歩きだすと、やっぱり後から誰かが来ている。
「あれ?百井さんじゃないですか?」
バス停で待っていると、後ろから声を掛けられた。
振り返ると、見覚えのある顔が立っていた。
「徳山さん!!」
「あっ、覚えていてくれたんですね。嬉しいな」
徳山さんとは、2週間程前まで入院していた患者さんで、25歳の男性。
あまり関わることはなかったが、みんなが「かっこいい」なんて言ってたので、印象に残っていた。
すらっと高い背は、瞬さんと同じくらいだけど、体格は少し華奢な感じ。
茶色く癖のある髪は柔かそう。
一重まぶたの目元は、笑うとなくなってしまう。
そして、キュッとあげる口角によって女の子を引き寄せるんだ、きっと。
私の印象は、『もてるんだろうな』それだけ。
入院中に彼女らしき女性は来なかったから、「私、告白しようかな?」と冗談めかして言う職員もいた。
「あっ、はい」
曖昧な返事をして、かわそうとした。
『嬉しいな』とか言われても正直困る。
あなただけを覚えているわけじゃないんやから。