White Magic ~俺様ドクターの魔法~
「看護師さんって大変ですよね。しんどくないですか?」
「しんどいですけど、まぁ、やりがいがありますから」
彼は、年下だったが、やはり患者さんということもあり、自然と丁寧な言葉で話してしまう。
まぁ、仲良くなるつもりなんてないから、このままでいいのだが。
「仕事を一生懸命している女性って素敵ですよね」
大抵の女性なら、落ちてしまうであろう甘い笑顔でそんなことを言う。
この人は、いつもこんなに笑顔なんだろうか?
普段、佐々木瞬という、笑顔の占める割合が少ない人と一緒にいるから、どうも居心地が悪い。
せっかく、今日は、瞬さんの部屋に行くというのに、出鼻をくじかれたようだ。
「百井さん、どこで降りるんですか?」
「楓台です」
次に降りるので、隠してもばれるから正直に答えた。
「僕も楓台なんです」
ニッコリ笑う彼に、愛想笑いしかできなかった。