White Magic ~俺様ドクターの魔法~
挙式の時間となり、ゾロゾロトチャペルへ移動する中でも、みんなの声は「高倉さんきれいやろうね」など、花嫁さんの姿に期待を寄せていた。
青い空に真っ白なチャペルに映えていて、とてもきれいだった。
チャペルの中に入ると、まっすぐに伸びるバージンロードの先に広がる高い天井。
差し込む光によって、ステンドグラスがとても美しく輝いていた。
私達は、前から詰めるように席に着くと、そわそわして周りを見ていた。
前の木村さん達からは、新郎側の列席者の品定めが始まっていた。
「あ~私も早く結婚したいなぁ」
チャペルの独特の雰囲気に奈緒はすっかり飲み込まれていて、目を輝かせていた。
「ももはどうなん?結婚」
そう聞いてくる束ちゃんは、もちろん小声。
「ノーコメントで」
なんでこんなところで、しかも束ちゃんに話さないといけないんよ。
・・・・・・結婚したいよ。
でも、今彼は大切な時期やから・・・・・・。
コソコソと話をしていると、いつの間にか新郎の豊川さんが入って来ていた。
パイプオルガンの音色が響き渡り、チャペルの扉が開いた。
眩しいくらいの光と共に、入って来る人物を見て、私達は溜息にも似た声を上げた。
「うわぁ、きれい」
純白のウエディングドレスに身を包んだ高倉さんは、とてもきれいで、油断してしまうと、口を開けて見とれてしまいそうだった。
隣りのお父様も、少し緊張しているのか、体が強張っているようだが、とても幸せそうな雰囲気は伝わってくる。
そしてなぜか、私は目頭が熱くなり、涙が零れて来そうだった。
何回か結婚式には出席したことはあるが、いつも涙ぐんでしまう。
式が終わり、外に出ると、眩しいくらいに光り輝いている新郎新婦が待っていてくれた。
幸せな二人と一緒に写真を撮ると、司会者の一言で私達は、みんなの前に出ることになる。
「ブーケトスをおこないますので、どうぞみなさん前の方へお進みください」
私はあまり気が進まなかったが、奈緒に手を惹かれて数人の集まりの中に向かった。
中でも張り切っているのは木村さんだった。
周りを寄せ付けないくらいの気合が入っていた。
仕事でもこれくらい気合を入れてくれたらいいんだけど・・・・・・。
私といえば、集団の一番後ろで全くやる気なし。
前では高倉さんが「いくで~!」と手を大きく振っていた。
青空と真っ白なウエディングドレスのコントラストがとても素敵で、ついつい見とれてしまった。
「3,2,1!!」
司会者のカウントダウンと共に投げられたブーケは、大きく弧を描き、みんなの頭の上高くを飛んでいた。
最高到達点からゆっくりと落ちてくるブーケは、狙ったかのようにこちらへ向いて飛んでくる。
そして、反射的に手を伸ばした瞬間、みんなの注目を浴びたブーケは、私の手の中に落ちた。
「キャー!ももちゃん、やったね!」
「いいな」
なんて声が聞こえてきたが、私は唖然とするばかりだった。
なぜなら、私は一歩も動いていなかったから。
高倉さんが狙って投げてくれたのではないかと思うくらい、私に命中したのだから。
私は、司会者に促されて、高倉さん達と一緒に写真を撮ってもらった。
記念だから、私のカメラも奈緒に渡して撮ってもらった。
「もも~こっち向いて~!」
なぜか、私にだけ声を掛けるのは束ちゃんで、スマホで写真を撮ろうとしていた。