White Magic ~俺様ドクターの魔法~
披露宴の会場は、天井が高く、とても広く感じられた。各テーブルの上には生花が飾られていて、華やかだった。
私達は席次表を見ながら自分の席を探していた。
「あったぞ~!」
束ちゃんの声について行くと、会場の真ん中辺りに私達のテーブルがあった。
病院から招待されているのは15人。
先生や師長さんがいる席と、その他の席。
私は、肩書き上、先生達のいるテーブルに座るところだろうが、束ちゃんや奈緒のいる席にしてくれていた。
きっと、高倉さんの気遣いだろう。
本当にありがたい。
披露宴が始まって、入場してきた二人はやっぱり幸せそうで、周りから「きれい!」「いいな」という声が聞こえてきた。
「ももちゃん、この席札、メッセージが書かれてあるよ」
奈緒が嬉しそうに席札を見ているのを横目に私も自分の目の前の席札を手にした。
「あっ、ほんまや!」
手に取った『百井 睦美 様』と書かれた席札の裏に手書きのメッセージが書かれていた。
『ももちゃんへ
今日はありがとう。
ももちゃんには、いつも助けてもらっていたね。
ありがとう。
主任就任おめでとう!これからも、仕事頑張ってね!
あと恋の方も頑張ってね!
お姉さんより』
あぁ、嬉しいな。
今の病院に働き始めてから、高倉さんのことをお姉さんのように慕っていたので、高倉さんも同じように思ってくれていたことが嬉しかった。
「ももは、なんて書いてあったの?」
私の手元を覗きこむようにして、束ちゃんが聞いてきたので、私のと束ちゃんのを交換した。
『束村くんへ
いつも、ももちゃんに教えられてばかりじゃあかんよ。
でも、見えない所で努力してるのは分かってるよ。
それが、実る日が来ますように。』
「束ちゃん、高倉さん、ちゃんと見てくれてるやん!」
「・・・・・・うん」
少し照れくさそうに束ちゃんは頷きながら、私に席札を返した。
奈緒や奈々のメッセージも見せてもらったが、本当にみんなのことを見てくれてるんだなぁ、と感動してしまった。
「高倉さ~ん」
奈緒なんかは、すでに涙目になっていた。
きっと彼女は披露宴が終わるまでに号泣してしまうだろう。
長い挨拶が終わり、ようやく乾杯が済むと、束ちゃんは待ってましたとばかりに料理に食らいついていた。