White Magic ~俺様ドクターの魔法~
「あの3人かっこよかったね」
私の向かい側に座っている高倉さんと同期の検査技師さん2人が顔を見合わせていた。
確かにかっこよかった。私に話しかけてきた立川さんという人は、優しそうな笑顔が印象的だった。
愛ちゃんに話しかけていた人は、がっしりした体格に髪はパーマがかけられていて、おしゃれな感じだった。
そして、奈緒に話しかけていた人は、色が黒く二重がくっきりとしていて、少し小柄だった。
「もも浮気すんなよ」
体を傾けて、私にそう言う束ちゃんは、私の何なんだろう・・・。
「あんたは彼氏か!」
冷たく突っ込みを入れると、束ちゃんは少し困ったような表情をしていた。
「佐々木先生に頼まれてるんだよ。お前に悪い虫がつかないようにって。あの人、どこまで過保護なん?」
・・・・・・瞬さんがそんなこと言ってたの?
恥ずかしいし・・・。
私は、あまりにも恥ずかしくて俯いてしまった。
「あっ、メール!」
束ちゃんは、スーツ内のポケットをあさり、スマホを取り出した。メールを読むと、「プッ」と吹き出していた。
「何よ、一人で笑って、気持ち悪い」
私は呆れ顔で言うと、彼は自分のスマホを周りからは見えないようにテーブルの下から渡してくれた。
【露出多すぎやし。束村、変な奴が寄らないように見張っておけよ】
なんやこれ・・・・・・。
「ってか、俺、こんなメールをももに見せたってばれたら殺されるかも・・・・・・」
「内緒な?」と言って、私からスマホを取り、メールを打つと、すぐにポケットに直した。
それからすぐに私のスマホのバイブがなっていることに気付いた。
【帰り、迎えに行くから連絡しろよ】
そのメールに笑いが込み上げて来そうになった。
めっちゃ心配してるし。
でも大丈夫やで。
私は、瞬さんにしか惹かれないから。
会場内が暗くなり、BGMが変わると入り口の扉が開いた。
ライトが当たっている場余には、お色直しをした二人が立っていた。
高倉さんは、ピンクのドレスに着替えていた。
ウエディングドレスも似合っていたが、色白の高倉さんには鮮やかなピンクのドレスもとても似合っていた。
みんなの拍手に迎えられて、二人はキャンドルサービスをしながら入場した。
会場内には、再び「きれい」「かわいい」「似合ってる!」なんて声が飛び交っていた。
お色直し後も、余興では大笑いし、友人代表のスピーチでは涙があり、あっという間に時間は過ぎていた。
そして、とうとうこの時間が来た。
「新婦から両親への手紙」
高倉さんは、いつものような落ち着いた口調で時折、言葉を詰まらせながら、手紙を読んでいた。
周りからは、鼻をすする音が聞こえて来て、みんな涙ぐんでいるようだった。
私もまた、ハンカチを手放せない状況になっていた。
高倉さん・・・感動させすぎです・・・。
私は、高倉さんともっと一緒に仕事がしたかった。
私も高倉さんのような素敵な女性になれるように頑張りたい。
「はぁ・・・泣いたぁ」
披露宴が終わり、会場が明るくなるとみんなが一斉に涙目をハンカチで拭いて、何かをやり遂げたような感じだった。
ゆっくりと腰を上げ、会場から出ると、写真撮影会が始まっていた。
私達も新郎新婦と一緒に写真を撮るチャンスを伺っていた。