White Magic ~俺様ドクターの魔法~
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「束ちゃん、どこにいてたんよ!!」
二次会が終わり、店の前で私は束ちゃんを責めていた。
「すまん、上野山さんが離してくれへんかったから」
申し訳なさそうに手を顔の前で合わせて、私に謝っていた。
「あいつらに何もされへんかった?」
あいつらとは立川さん達のことだろう。
「何、心配してんの?何もないって」
「でもさ、上野山さんがやきもきしてたけど、ももの隣に座ってた男、やたらと距離が近かったんじゃない?」
「まあね、ただの酔っ払いよ」
「何かあったら、俺殺されるし!」
『佐々木先生に』と言わなかったのは、奈緒が近くにいたからだろう。
奈緒は「何の事?」なんて首を傾げながら聞いてきたが、私達は必死でごまかした。
そして、瞬さんが迎えに来てるのがばれないように、さりげなくみんなの輪から消えていった。
【第1ビルの横で待ってる】
そのメールを胸に、彼の待つ場所へと急いだ。
暗い中でも目立っている走り屋の車。
その車が見えてくるだけで私の胸は高鳴り、スキップでもしてしまいそうになる。
あぁ、絶対に顔がにやけてるわ。
私は、表情筋を動かして、にやける顔を元に戻そうとしていた。
車のドアを開けると、薄暗い車内に彼の笑顔が見えた。
「おかえり」
優しく低い声で迎えてくれると、私はゆっくりと助手席に体をしずめた。
「あぁ、疲れた~」
履きなれない高いヒールにかなり疲れていたので、こうやって落ち着いて座れるのが嬉しかった。
「どうやった?」
運転しながら、ちょっとだけ私に視線を向け言葉を掛けてくれた。
「うん、よかったよ~。高倉さん、めちゃくちゃきれいやった!あ~いいな、なんか羨ましい」
彼の横顔を見ながら言うと、「そう」と控えめに返事をしただけだった。
・・・・・・もうちょっと喜んでくれると思ったのにな。
『じゃあ、俺らも結婚する?』なんて言ってくれると思ったんやけどな・・・・・・。
最近では、めっきり結婚の話も出なくて、正直私は戸惑っていた。
以前、「結婚したいな」って言われた時は、私は何も返事することができなかったから、言ってくれなくなったんかな?
でも最近は、瞬さんとようやく結婚することが現実味を帯びてきた・・・・・・いや、結婚したいと思うようになってきた。
私から言わないといけないのかな?それか、結婚する気がなくなった?
・・・・・・付き合って1年も経ってないし、まだ結婚なんて早いよね。
「着いたよ」
瞬さんの声に思わず「えっ?」と声をあげてしまった。
「睦美、ボーっとしすぎ」
眉を下げて「仕方ないな」とでも言いたそうな顔を見せてくれた。