White Magic ~俺様ドクターの魔法~
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「とにかくさぁ・・・・・・彼氏とちゃんと話してみ」
彼はパンを頬張りながら、向かいにいる私に言った。
「はい」
でもどうやって・・・・・・「別れよう」って言って、追い掛けてもくれへんのやで?もうどうでもいいんじゃない?
どうしてもそんなマイナスの考えばかりがぐるぐると二日酔いの頭を回っていた。
食事を終えた私は――と言っても、パンなんて口に通るはずもなく、水を飲んだだけ――立川さんにお礼を言って、部屋を後にした。
帰り際に「いつでもおいで」と言ってくれたが、来るわけにはいかない。
少なくとも彼は、私に好意を寄せているのは知っているのに、それを利用するようなことはできない。
「ごめんなさい。それはできないです」
真面目に答えると、「やっぱり無理か」なんて笑っていた。
「じゃぁ、女の子を紹介して」
「それなら大丈夫です」
そう言って笑いあった私たちは、いったいどういう関係なんだろう。
二日酔いの体を必死に動かして、家へと帰った。
家には誰もいなく、私はすぐに浴室に向かった。
シャワーを浴びながら、昨日の出来事を思い返して何度目かわからない涙を流した。
あぁ、なんでちゃんと話を聞かなかったんだろう・・・。
シャワーを浴びてベッドに横になり、見慣れた天井を見つめながら考えていると、いつの間にか眠っていた。
「睦美、帰ってるの?」
部屋の外から聞こえた母の声で目が覚めると、明るかった部屋の中はいつの間にか薄暗くなっていた。
「うん・・・・・・」
私は起き上がると、ドアの向こうの母に返事をした。
「連絡しないから心配してたのよ?」
あぁ、そういえば、連絡してなかった。
そうか、瞬さんのご両親に会って、どうなったかもしらないんだ。なんて言おう・・・。
「・・・・・・すぐ降りるから」
そう言って母を1階へと追いやった。遠ざかる足音に私は大きくため息をついた。
結局私は、両親に嘘をついた。
瞬さんのご両親はとてもやさしかったこと(これは本当)
そして、何も問題なく楽しい時間を過ごすことができて、夕食もごちそうになったこと。
そのまま瞬さんと出掛けたので、連絡がとることができなかったこと。
ほとんど嘘で固めてしまった。