White Magic ~俺様ドクターの魔法~

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そして、もっとも来て欲しくなかった水曜日。


三谷師長から佐々木先生の検査や回診につくように言われたら、断ることはできないので、否応なしに話すことになる。


そうならないことを祈っていた。


「じゃぁ、今日の胃カメラは束村くん、消化器外科の回診中川副師長がついてね。循環器内科は、ももちゃんよろしく」


助かった。1人で胸をなで下ろしていると、隣にいた束ちゃんが横目で見ているのがわかった。


まるで『お前、ちゃんと話したか?』と言わんばかりの疑いの目で・・・。


束ちゃんの視線を無視して、私は仕事を始めた。


いつも通りの仕事内容だが、いつどこで彼に会うかわからない。


そう広くない院内では、どこで会っても不思議ではない。


でも、ここ――職員食堂――だけは安心できる。


職員はほとんどこの食堂を利用するが、ドクターは使用していない。


院長、副院長はそれぞれの部屋があるし、非常勤ドクターも控え室で食べるからだ。


だから、昼休憩の間は、彼に会う心配はない。



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