White Magic ~俺様ドクターの魔法~
静かにドアが閉まると、みんなは一斉に「はあ~」と呼吸をし始めた。
「俺、息するの忘れてたし」
「私も~」
「ドラマでも見てるみたいやったね」
そんな言葉が聞こえてくると同時に、私の周りには続々とみんなが群がり始めた。
「ももちゃん、いつから?」
「めっちゃ、俺様やったけど、かっこいい!!」
「おめでとう!」
「全然知らんかったし」
という言葉を浴びているうちに私はことの重大さを認識した。
私、今、プロポーズされた?
しかも、返事したよね?
というか、あれ何よ!偉そうに。
そう思いながらも、私の顔はほころんでいたに違いない。
「ももちゃん、嬉しそう!!」
やばい!!
表情筋戻れ!
「佐々木先生、やるなぁ」
束ちゃんがゆっくりと私の方へ来て、嬉しそうにしいた。
「午後から佐々木先生の回診につくから聞こうっと!」
中川副師長までもが、ニヤニヤしながらそんなことを言っているのを見て、彼はとんでもないことをしたんだと恥ずかしくなった。
「私、休憩終わりなんで」
みんなからのブーイングを受けながら、私は食堂を出た。
久しぶりにスマホを見ると、瞬さんからの着信とメールが来ていたことに気づいた。
『睦美、どこにいるの?』
『頼むから電話に出て』
『話をしよう』
「あれ・・・・・・『通話1件』ってなってる」
この時間だと・・・・・・・立川さんの家にいた頃よね・・・。
ってことは、瞬さんは立川さんと話をしたん?
嘘っ!?
『お前、なに男のところに行ってるんじゃ――!』
みんなは忘れてるだろうけど、彼の第一声はこれだった。やっぱり話をしたんや。
2人の会話を想像するだけで寒気がしてきた。