White Magic ~俺様ドクターの魔法~


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「ももちゃん、佐々木先生ってかわいいいね~」


回診が終わってナースステーションに戻ってきた中川副師長が大きな声で言った言葉に、驚いた。


「えっ・・・?」


「中川副師長、そうなんですか~?」


みんなが一斉に寄ってくる。


どこにいたんだろうと思うくらいの人が集まってきた。


「そうなのよ。ももちゃんの話をしたら、デレデレ!」


・・・・・・デレデレって。


「すごい、惚れられてるんやね!」


私は蚊帳の外で、みんなが勝手に喋りつづけていた。


「私、処置行ってきます」


みんなから逃げるように、その場から立ち去った。


はぁ・・・・・・大騒ぎになってしまってるやん。


「失礼します」


処置をする患者さんの病室へと行くと、その大部屋の4人の患者さんが一斉に

「ももちゃん、結婚するんやって~?」

と寄ってきた。


この部屋の患者さんは、割と軽症で、60代前後のおばさま達なので口は達者なのだ。


うわぁ、なんで知ってるのよ。


しかもこの人たちに知られたから、みんなに知られるのも時間の問題じゃなない!


「あっ、はい」


そう答えると、女子高生のように「「キャー!いいわね!」なんて高い声を出して喜んでくれた。


「佐々木先生かっこいいもんね」


「優しいし!」


なんてまた私は蚊帳の外で、口々に話をしている。


「坂本さん、終わりましたよ」


処置が終わると、私はすぐに大部屋を後にした。


廊下を歩いていると、

「ももちゃん、おめでとう」


なんて言われるので、なぜここまで広まっているのか疑問に思ってしまう。


しかし、その疑問はすぐに解けた。


中川副師長曰く、佐々木先生は回診中ずっとニコニコしていたので、患者さんに「先生ごきげんやね」と言われ、それに対して、中川副師長が先生が私にプロポーズしたことを話して回ったらしい。


ちゃんと、回診しろよ!!


「ももちゃん、ダーリンが『帰り待っておいて』って言ってたよ」


みんなの前で言うものだから、冷やかされる始末。


あぁ、早く解放されたい。

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