White Magic ~俺様ドクターの魔法~
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仕事が終わった時、まだ外来の診察が終わっていなかったので、私は事務所で調べ物をすることにした。
『事務所で待ってます』
もう隠しても意味もなくなった私は、事務所で彼が来るのを待つことにした。
「この本お借りします」
事務所内にいる職員に声を掛けると「はぁい」と聞き覚えのある声が返ってきた。
「あれ?緑ちゃん?」
少し覗き込んで受付に目をやると、同期で事務職員の渡辺緑がいた。
彼女は、同期だが新卒採用だから私より3歳ほど若い。
妹がいたらこんな感じなんだろうな・・・と思いながら、食事に行ったりしている。
「ももちゃん、どうして言ってくれなかったんですか?」
仕事をしながら、私の方に一瞬顔を向けると、不貞腐れた顔はしていたものの、責めるような口調ではなかった。
「いや、ごめんね」
私は素直に謝った。
「でも、相手が相手ですからね」
もう一度振り返ると、意地悪な笑みを零していた。
――またゆっくり聞かせてもらいますよ――と言っているようだった。
「それより、その影響うちの部署に出てるのをどうにかしてくださいよ!」
・・・・・・影響?緑ちゃんの言ってる意味がわからなかった。
私が黙っていると、緑ちゃんは「あれ見てくださいよ」と指差した。
彼女が指を差す方を見てみると、山積みになった書類に突っ伏している上野山さんがいた。
彼の周りだけが雨雲でも漂っているかのようにどんよりしていた。
あぁ・・・・・・上野山さん。
私は、上野山さんの気持ちを知っている。
でも告白してくれないから、なんとも言うことができないのだ。
上野山さん、あなたはこのまま私を忘れることはできますか?
あなたは、瞬さんの友達だから、私と会うこともあるでしょう。
何も知らない瞬さんは、「3人で飯食いに行こう」と言うかもしれない。
それでも、耐えられますか?
忘れることができますか?
そんなことを考えながら、私は彼に近づいていった。