White Magic ~俺様ドクターの魔法~
「こんなに料理が上手な子と早く結婚したいなぁ」
耳に飛び込んできた言葉は、冗談っぽく言われたものだったが、この恋愛の先には結婚が待っていることを改めて自覚させられた。
そして、私は何とも答えることはできなかった。
「ははっ、俺、焦りすぎ?」
何も答えない私が困っているのだと思ったのか、彼はそう付け加えると立ちあがった。
突然動き出した彼の顔を見上げると「着替えてくる」とだけ言って、寝室に向かった。
今、きっと不安に思ったよね・・・・・・。
自分が何も答えることができなかったことを悔やんだ。
「そうだね」と一言答えることができたなら、彼を不安にさせなかったのかもしれない。
でも、言うことができなかったのは、まだ私の中で「結婚」が現実化していないからなんだ。