White Magic ~俺様ドクターの魔法~
「もうちょっと、待ってください」
『ごめんなさい』と言うと、彼は傷つくと思ったので、この言葉を選んだ。
「いつまでも待つよ」
その言葉は心地よく私の耳に響くと、頭中を廻った。
目を閉じて、それを感じていると、次に彼が発した言葉に対して、頭の上に「???」が浮かんだ。
「待つって、ここでずっと待ってるの?」
「えっ??」
全く彼の言っている意味がわからずに聞き返すと、彼はわざと脚を前に出して、「進めないんですけど」と振り返りながら言った。
――満面の笑みで――
そして、彼の視線の先を追うように目線を下ろすと、私の右手が、彼のニットの裾を引っ張っているのに気付いた。
「あっ、ごめんなさい」
慌てて手を離すと、俯いて謝った。
無意識のうちに何をしてるんやろう・・・・・・右手を見つめながら、あたふたしていた。
「別に謝らなくていいよ」
その言葉と同時に、彼の胸に引き寄せられ、背中には、彼の腕を感じることができた。
ドクドク・・・と私の心臓の動きと同期するように彼の心臓も速く動いていることがわかった。
「また、余裕ないし」
頭上から聞こえる声が、苦しそうな声であっても心地よくて、身を委ねてしまう。
「・・・・・・かわいい」
6歳も年上の男性に言う台詞ではないと思いながらも、私はそう呟いた。
きっと聞こえていないはず・・・・・・そう思っていた。
「誰が?」
ゲッ・・・・・聞こえていた?
私は思わず顔を上げると、そこには少し意地悪そうに笑った彼がいた。