White Magic ~俺様ドクターの魔法~
「誰が、かわいいって?」
しまった!ドSのスイッチを押してしまったみたい・・・・・・。
「・・・・・・何の事だろう?」
咄嗟にとぼけたが、明らかに聞こえていた言葉は、消すことはできず、目の前のドS男は、私に答えを求めていた。
もちろん、抱きしめた腕の力も緩めてはくれない。
「なぁ、誰がかわいいって?」
徐々に近づいてくる整った顔は、なんとも色っぽくて私の体中が熱くなっていく。
「えっ、それは・・・・・・」
「『待って』は、なしな」
先回りして、逃げ道をなくされた
「瞬さんが・・・・・・かわいいなって」
しどろもどろになりながら答えると、再び力強く抱きしめられて、耳元で
「言うなら、かっこいって言えよ。っていうか、睦美の方がかわいい」
と甘い声で言われると、腰が砕けそうになってしまった。
余裕ない、とか言いながら、めちゃくちゃ余裕だし。
私・・・・・・絶対に遊ばれてるし。
そしてぼんやりしている私の頬を両手で包み、顔を上げるようにすると、ゆっくりと彼の顔が近付いてきた。
あぁ、完全に瞬さんのペースになってる。そう思いながらも、目を閉じる。
少し冷たい唇が触れると、私の体は中心から溶けてしまいそうになりながら、彼の愛を受け止め、求めた。
深くなるキスに、全てを任せていると、重なっていた唇が少しだけ離れたと思ったら、
「やばい、やめられへん」
と言い、再び唇を重ねた。
私は、声にならない声を出しながら、その場に崩れ落ちるように座り込んでしまった。
静かな部屋の中では、二人の吐息が充満していたが、それも聞こえないくらい、お互いを求めていた。