甘いヒミツは恋の罠
(あぁ、資料室で毎日のように埃かぶったファイルとにらめっこしてたのは一体何だったの……)


 紅美は、さっそく朝比奈のいる店長室へ向かい、ノックをした。


「皆本です」


「どーぞ」


 相変わらず気怠そうな返事が返ってくると、紅美はおずおずと部屋へ入った。


「あら~、こんにちは」


(うぐ……またあのケバ女だ)


 部屋に入った途端、濃厚な香水の匂いがして一瞬えずきそうになってしまう。


「ど、どうも……」


 朝比奈となにやら仕事の打ち合わせをしているようだったが、その部屋にはなんとなく淫猥な雰囲気を感じずにはいられなかった。
< 105 / 371 >

この作品をシェア

pagetop