甘いヒミツは恋の罠
 紅美が出て行った部屋の中でひとり、朝比奈は窓の外をぼんやりと眺めていた。



 瑠夏がデザインした指輪素敵ね――。


 これで私たち、一生結ばれるのね……嬉しいわ――。



「かわいそうな人……ね」


 綺麗に記憶の中から抹消したはずの過去がぼんやりと浮かび上がってきて、思い出すたびに気持ちが乱れる。


「……くそ」


 朝比奈が小さく舌打ちをしたその時だった。
< 129 / 371 >

この作品をシェア

pagetop