甘いヒミツは恋の罠
Secret 5 恋しいぬくもり
 ――デザイナーズフェア当日。


(それにしてもすごい人……)


 フェアは毎年行われていたが、紅美にとって今年は初参加だった。行きたいと思いつついつも、仕事の都合がつかず参加できなかったのだ。


(私のデザインしたネックレスをたくさんの人に見てもらえるチャンス!)


 各アクセサリー業界の店舗がブースを並べる中、一般客が行き交う様子を見ていると誰もがハイソな雰囲気を漂わせていた。こうして見ると、金持ちがこぞって集まったパーティーにすら見えてしまう。


「おい、なんだ、物欲しそうな顔して」


「え……?」


 その声にはっと我に返ると、いつの間にか朝比奈が横に立っていた。
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