甘いヒミツは恋の罠
思い返せば確かに、結衣はデザイン部の中では一番にデザイン画を仕上げていた。
仕事が早いと周りから言われて、優越感に浸った結衣の顔が思い出される。しかし、早々に仕事を終わらせたものの、紅美にとって結衣のデザインしたブレスレットは高級感がなく、アルチェスのアクセサリーにしてはチープな印象を受けた。けれど、それを指摘する術はなかった。
「あの、私はこのブレスレット好きですよ。せっかく――」
「皆本さん、そういうの偽善って言うんですよ」
沢田の目が眼鏡の向こうで睨んでいる。結衣は今にも泣き出しそうになって肩を震わせていた。
「いいんです。店長に気に入られるデザインができなかった私に才能がないんですから」
「そ、そんな……」
偽善と言われて紅美はそれ以上口を開くことができなかった。
仕事が早いと周りから言われて、優越感に浸った結衣の顔が思い出される。しかし、早々に仕事を終わらせたものの、紅美にとって結衣のデザインしたブレスレットは高級感がなく、アルチェスのアクセサリーにしてはチープな印象を受けた。けれど、それを指摘する術はなかった。
「あの、私はこのブレスレット好きですよ。せっかく――」
「皆本さん、そういうの偽善って言うんですよ」
沢田の目が眼鏡の向こうで睨んでいる。結衣は今にも泣き出しそうになって肩を震わせていた。
「いいんです。店長に気に入られるデザインができなかった私に才能がないんですから」
「そ、そんな……」
偽善と言われて紅美はそれ以上口を開くことができなかった。