甘いヒミツは恋の罠
「おい!」
見ると血の気の失せた頬に涙の乾いた跡があった。紅美の手をそっと握ると、まるで氷のように冷たかった。
「皆本……?」
軽く肩を揺すると、僅かに瞼が動いた。眠っているだけだと安堵したその時、紅美の胸元できらりと瞬くルビーのネックレスに目が留まった。
紅美が、かの有名なジュエリーデザイナー神楽坂涼子の孫で、身につけているピジョンブラッドのルビーは億は下らない価値はあるということはわかっていた。
前に、朝比奈は紅美にこのルビーの価値について話したことがあったが、彼女に本当の値打ちのことを話せば、きっと目の届かない所へしまいこんでしまうだろうという卑しい憶測があった。
今、そのルビーが自分の目の前に晒されている――。
朝比奈はごくりと息を呑んで、無意識にそのルビーに手を伸ばした。ドクンドクンという心臓の鼓動を聞きながら、ゆっくりと震える指先にルビーが触れそうになった。
その時――。
見ると血の気の失せた頬に涙の乾いた跡があった。紅美の手をそっと握ると、まるで氷のように冷たかった。
「皆本……?」
軽く肩を揺すると、僅かに瞼が動いた。眠っているだけだと安堵したその時、紅美の胸元できらりと瞬くルビーのネックレスに目が留まった。
紅美が、かの有名なジュエリーデザイナー神楽坂涼子の孫で、身につけているピジョンブラッドのルビーは億は下らない価値はあるということはわかっていた。
前に、朝比奈は紅美にこのルビーの価値について話したことがあったが、彼女に本当の値打ちのことを話せば、きっと目の届かない所へしまいこんでしまうだろうという卑しい憶測があった。
今、そのルビーが自分の目の前に晒されている――。
朝比奈はごくりと息を呑んで、無意識にそのルビーに手を伸ばした。ドクンドクンという心臓の鼓動を聞きながら、ゆっくりと震える指先にルビーが触れそうになった。
その時――。