甘いヒミツは恋の罠
紅美の頭の中で、未だに残っている結衣の震える声。それは自分の手が黒く染まっていくことに躊躇し、本当にこんなことをしていいのかと戸惑っているようなそんな声だった。
「お前はそれでいいのか?」
「いいんです。資料室に閉じ込められたおかげでなんとなく自分自身と向き合えた気がするんです」
「どんな修行だよそれ……」
嫌がらせされて、資料室に閉じ込められて散々な目に遭ったというのに、それでも頑なに前向きな紅美の姿を、朝比奈は不可解だというような目を向ける。
「朝比奈さん……指輪のデザイン、もう一度してみませんか?」
「もう一度……だと?」
紅美が言うと、朝比奈の表情が一変して鋭いものに変わった。
「朝比奈さんが指輪のデザインを避ける原因になった人って……この人ですよね?」
紅美が数ある中からようやく探し出した写真、その中に嬉しそうに指輪をカメラ目線で見せる前園絵里の姿があった。
「お前はそれでいいのか?」
「いいんです。資料室に閉じ込められたおかげでなんとなく自分自身と向き合えた気がするんです」
「どんな修行だよそれ……」
嫌がらせされて、資料室に閉じ込められて散々な目に遭ったというのに、それでも頑なに前向きな紅美の姿を、朝比奈は不可解だというような目を向ける。
「朝比奈さん……指輪のデザイン、もう一度してみませんか?」
「もう一度……だと?」
紅美が言うと、朝比奈の表情が一変して鋭いものに変わった。
「朝比奈さんが指輪のデザインを避ける原因になった人って……この人ですよね?」
紅美が数ある中からようやく探し出した写真、その中に嬉しそうに指輪をカメラ目線で見せる前園絵里の姿があった。