甘いヒミツは恋の罠
「北野さん、もしかして……朝比奈さんのこと――」


「違うの、店長に対して特別な感情はないの……ただの憧れで認められたかっただけ」


 結衣が作り笑いを浮かべたその時だった。


「ったく、女ってのはよくピーピー泣くな」


「あ……朝比奈さん!? それに沢田さんも……」


 その声の方向に振り向くと、朝比奈と沢田が立っていた。


「皆本さん、よくも北野さんを泣かせてくれましたね?」


 沢田が拳をふるふるさせながら、眉間にしわを寄せて険しい顔つきをして紅美を睨んだ。


「え? ち、違うの、これは――」


「北野、お前は明日から総務部へ異動だ」


「……へ?」


(総務……部?)


 朝比奈の言葉に紅美も結衣もぽかんとしていると、ため息をつきながら腕を組んで言った。
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