甘いヒミツは恋の罠
「……俺は、そんなに頼りないか?」


「え……?」


(朝比奈さん……? なに、言ってるの……?)


 背中にじわじわと朝比奈のぬくもりが広がっていく、紅美はそのぬくもりについ溺れそうになってしまう。


「頼りないなんて思ったことは一度もないです。朝比奈さんは、私のこと……いつもちゃんと影から見守ってくれてるじゃないですか」


「そんなつもりは……」


「だって、フェアで展示するアクセサリーを私が必死でデザインしていたことも、遅くまで居残って資料室にいたことも全部知ってたじゃないですか」


 朝比奈に向き直ると、朝比奈は目を逸らしながら照れた表情を隠すようにしていた。
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