甘いヒミツは恋の罠
Secret 7 史上最悪のクリスマス
 木田宝飾のとある部屋で――。


「元有名ジュエリーデザイナー神楽坂涼子の娘、五千万の借金苦……ふぅん、何年経っても神楽坂涼子って色褪せないもんだねぇ」


 週刊誌をばさっとデスクに放り投げると、その視線の先に鬱陶しそうに髪の毛を掻きあげながらソファに座って、その美脚を組み直す宇都宮葵の姿があった。


「隆史、私も暇じゃないの、早く書類よこしなさいよ、ほんと……木田宝飾の連中って仕事が遅くて嫌になるわ、こんなんじゃいつまでたってもアルチェスに太刀打ちできないわよ? 次期社長様?」


「おいおい、アルチェスと比べないでくれるかなぁ、確かにうちはアルチェスに比べればまだまだだけど……そのうち僕が父さんの社長の椅子を引きずり下ろして上に立てば、経営も一変する」


 大野は葵の持ってきた宝石のサンプルを、まるで欲しいものは全て手中に収めるといったような傲慢な目つきで見つめた。
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