甘いヒミツは恋の罠
「朝比奈さんの手……熱い」


 ニットがたくし上げられ、素肌が外気にさらされると思わず身体を震わせた。


「寒いか? 安心しろ、すぐに熱くて熱くてたまらなくなる……」


 胸の谷間に吸い付くように唇を押し当てられ、恥ずかしさで紅美はぎゅっと目を瞑った。


「お前、身体に力入りすぎ」


「だ、だって……」


(朝比奈さんに見られちゃうよ……全部)


 羞恥で拒みたくなる反面、思い切り抱かれたいというジレンマに、紅美は戸惑いながら朝比奈の全てを受け入れた。


 身体に覚えこまされたその感覚は、初めて知り得る極上の悦だった。紅美は漏れる声を抑えようと指を噛んだ。
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