甘いヒミツは恋の罠
「こら、そんなに噛むな」


「あ……っ」


 何度も身体を揺らされて、紅美は途切れそうになる意識をかろうじてつなぎ止めるのに必死になった。


「あ、さひなさ――」


「紅美、紅美……」


 吐息混じりの官能的な朝比奈の声音が、身体の芯を疼かせた。その時、ぽたりと朝比奈の汗の玉が、紅美のすでにしっとりとした肌に交じって落ちた。


「っ……!」


 身体のラインに沿って、つぅっと汗の雫が流れると、それがまたゾクリと身体を震わせた。


「朝比奈さん……私、もう――」


 襲いかかるような濃密な愉悦の中、紅美は朝比奈の身体の熱を感じながら、次第に遠のいていく意識にゆっくりと目を閉じていった――。
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