甘いヒミツは恋の罠
「■※☆★~~~!!」


「お前、朝からうるさい」


「っ!?」


 その声に驚いて、紅美が見ると目を細めてじっと見つめる朝比奈と目があった。


「お、はようございます……」


「……寒い」


「きゃっ」


 紅美は、いとも簡単に朝比奈に腕をとられてその逞しい胸の中へ引きずり込まれた。


「ち、ちょっと! 朝比奈さん、朝から何してるんですか!?」


 抵抗しようと身をよじる紅美の首筋に、朝比奈はお構いなしに甘い水音を立てて吸い付く。すると、まだ身体の奥で燻っている疼きが再び熱を取り戻す。


「俺は欲望に忠実だからな」


「もう……」


 気恥ずかしくて顔を隠そうとしたが、そんな抗いも無駄といったように朝比奈がクスリと笑った。


(朝比奈さん……好き)


 陽の光がお互いの身体を柔らかく照らして、そんな様子に紅美は思わず恥ずかしさを覚える。


 紅美にとってその日の朝の光は眩しすぎた。
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