甘いヒミツは恋の罠
※　※　※

「朝比奈さん、本当にいいんですか？」


「あぁ、流石にいつもまでもここにこもりっきりってわけにもいかないだろ、それに沢田がそろそろ限界のはずだからな……」


　本当は、まだ数日ここでじっくり指輪のデザインを考えたいところなのだろうが、店長としての仕事も溜まりに溜まっているのだろう。簡単な朝食を終えると、朝比奈が今日、会社に戻ると言い出した。


「お前も今日帰らないとまずいだろ」


「それはそうなんですが……」


　沢田が出した頼みもしない休日届は今日までとなっている。どのみち紅美は今日中に帰らなければならない。


「なにかまずいことでもあるのか？」


「い、いいえ！　そうじゃなくて、朝比奈さんのデザインがうまく出来上がるといいなって……」


　紅美の心配そうな表情に気づいた朝比奈は、安心させるように紅美を引きつけると、ぎゅっと抱きしめた。
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