甘いヒミツは恋の罠
Epilogue
 アルチェス本部にて――。


 会見の数日後、紅美は朝比奈とともに、アルチェスの社長である朝比奈翔に呼び出され、本部の応接室へ来ていた。


「まったく、お前ってやつは……後先考えずに行動するなって昔から言ってるだろう」


「あ~もう、悪かったよ、ほんとに今回のことは全面的に俺が悪い」


「ち、違いま――」


「お前は黙ってろ」


 朝比奈は、紅美が割ってはいろうとするのを許さず一言で制してしまう。


「あれから大変だったんだぞ? マスコミが本部へ押し寄せてきて二人の真相は~とか、社長はご存知だったんですか~とか」


 会見をうまい具合に抜け出したと思っていたが、運悪く数人の記者たちに脱走する現場を見られてしまったため、朝比奈社長はそのゴシップ記事をもみ消すのに苦労したという。なんとか記事にならずにすんだが、今後軽率な行動を慎むように二人は社長からお灸をすえられていたのだった。
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