甘いヒミツは恋の罠
(うぅ~! なんなのよ、遊び人! そっくりそのまま言い返してやりたい!)


 と、その時――。


「そんなところで何してるんですか? 隠れんぼかな?」


「うわぁ!」


 突然、背後から声をかけられてびくりと肩を跳ねさせると、そこには不思議そうに紅美を見つめる大野の姿があった。


「お、大野さん……びっくりした」


「そんな驚かせるつもりはなかったんですけどね」


 見ると、大野は白いカッターシャツにブレザーを着て、長い足を際立たせるような細身のジーンズという少しフォーマルな服装をしていた。


「仕事が早めに終わったんで、その……食事でもどうかなって。すみません、僕、皆本さんの連絡先知らなくて勝手に会社に来ちゃいましたけど……」


(食事!? ど、どうしよう……でも――)
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