Flicken Geist
「駄作だな」

葉巻をくゆらせながら、ゴーストが言った。

「所詮はお役人…自分の目で確認する事をしない…だから詰めが甘いんだ」

「ああ」

ガイストも頷く。

GPSと無線傍受で、ガイストの行動を全て把握したと思い込んでいる。

目に見えていない以上、偽装など幾らでもできるというのに。

…ガイストはゴーストにトドメを刺さなかった。

このままゴーストを暗殺しても、単独で無事脱出できる見込みはない。

ならばゴーストの命を助け、『取引』した方が得策。

彼が実の父親故に、情が湧いて殺せなかった訳ではない。

「俺が死んだ事にしてやる、だから身の安全は保障しろか…強かだな、お前」

「傭兵ならこんなもんだろう」

ガイストは何食わぬ顔をして言った。

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