短編集
3号棟の啓太くんの家を過ぎ、今度は4号棟へ。
5号棟、6号棟と移動して、ぐるりと回り1号棟まで戻る。
団地をジグザグに通り、一周した感じ。
何だろうこれは……
随分と歩かされた意味が、良く分からない。
分からないけど、6つの集合住宅の前を通る度に想い出が蘇った。
そこに住んでいた友達や、近所の優しいおじさんおばさん達。
たくさん遊んで、時に褒められ時に叱られた。
ここは、私が生まれ育った場所。
この団地に育てられ、私という人間が作られた。
団地がなくなるのは悲しいけど、私の中に団地が生きている。
想い出も消えたりしない。
ずっとずっと、心の中にあるだろう。
だから…… 大丈夫。
団地は心の中に、前を向いて未来へ歩いていこう。
そんな気持ちになった。