短編集
アカリの視界に私が入っている……
そう思うだけで、全身の血液が沸騰し、顔が真っ赤になった。
アカリと私は友達じゃない。
同じ学部の同期生、クラスメイトのような存在なだけで、話したことがない。
アカリと話すなんて贅沢過ぎる。
友達になりたいわけでもないから、特に不満も感じない。
彼女は憧れ。
テレビに映るアイドルみたいな存在で、アカリのようになりたいと思っていた。
夕方の帰り道、駅に向け一人で歩いていた。
まだ夏なのに、ショーウィンドウには秋物が並ぶ。
秋物コートを着たマネキンの前で、足を止めた。
この服、アカリに似合いそう……
そう思ったショップは、女子大生に人気のブランド“L.E.Campus”
ちょっと覗いてみようと思い、中に入った。
すると、今日アカリが着ていた、パステルカラーのピンクのブラウスが目に飛び込んでくる。
夏物処分で20%オフの札までついていた。