短編集
団地の閉鎖で離れ離れになってしまった友達の顔を、一人一人思い出していた。
奈っちゃんは、今頃どうしているのだろう。
優ちゃんに、花ちゃん、萌ちゃん、
宏くん、隆行くん、公平くん、
それから
啓太くん…………
啓太くんの顔が浮かんで、
涙ぐんだ。
引っ越しと共に私の長い片想いは、片想いのまま終わってしまった。
最後まで、告白する勇気が持てなかった。
何度も言おうと思ったのに、姿を見ると逃げ出してしまった。
啓太くんに会えなくなり、今は後悔に泣いているだけ。
弱虫な自分が嫌になる。
誰もいない児童公園をじっと見下ろし、彼の姿を思い出していた。
浅黒く日焼けした肌のサッカー少年の彼。
無口だけど爽やかで、時々見せる笑顔が素敵だった。
同じ歳の私達は、小さな頃はよく公園で一緒に遊んでいた。
二人きりじゃなく、同じ年頃の子供がたくさん集まり、皆でワイワイと。
小さな頃はそうしていたけど、大きくなるにつれ、
男子は男子、女子は女子で遊ぶようになり、自然と距離が開いて行った。