青い記憶
「そんな怖い顔すんなって!」
笑って誤魔化そうとしても
いつもみたいに笑ってくれない歩。
「・・・おかしいだろ、いきなり」
「おかしいって・・・
今までの方がおかしかったよ。
付き合ってもいないのに
いつも一緒でベタベタして。」
「・・・。」
私は別に、恋人に別れを告げてるわけじゃないよ。
幼なじみに
少し距離をとろう
って言ってるだけだ。
なんでこんな空気になるんだろう。
「・・・かよ。」
「え?」
「じゃあ、付き合えばいいのかよ!」
は?
そういう事が言いたかったんじゃないのに
しかも、なんか、その言い方・・・
「なにそれ・・・
最低だよ!
別に私はそういう意味で言ったわけじゃない!
迷惑なの!いつも!」
あぁ、ダメだよ。
「歩はいいよ!モテるから!
私が隣にいても女子が群がって来るよ!」
本当に、こんな事言いたいわけじゃ
「でも、私みたいな平凡な子の隣に
歩がいると迷惑なの!
私だって、恋がしたいの!
ずっと、なんて!そんなの、」
なかったはずなのになぁ
「無理に、決まってる、でしょ?」
私は、なんて、可愛げの無い女の子なんだろう。
いつの間にか流れていた私の涙をみて
それが本当の素直な気持ちなんだって事に
気付いてくれるほど
歩は賢いわけなかった。
「そうかよ。悪かったな、
もう二度と愛梨には近寄らねーよ。」