青い記憶



昔から病院は好きじゃない。

薬の匂いがするし、

何かと予防接種など
注射をされるイメージがあるし、


そして何より、
無機質な不気味な白さが気に食わなかった。



清潔感のあるこの建物の中で

息を切らした汗だくの私と誠也が

空気をよどませてるようだった。


「あ、歩っ!!」

ガラッ
勢い良く病室のドアを開ける。


たくさんの管につながれて
人形の様に動かない歩むが

ベッドに横たわっていた。


頭の中がさらに真っ白になって
歩に駆け寄る。


暗闇の夜の窓から差し込む
青白い月の光が

歩をさらに顔色悪く照らしていて

このまま歩が動かなくなってしまったらと思うと涙が止まらなかった。

「姉ちゃん・・・
あ、歩くん・・・大丈夫かなぁ、」

きっと、誠也も同じ事を考えていたのだと思う。

私達は涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにして
歩のそばにいる事しか出来ない。


どうか、どうか

前みたいに笑ってよ、歩。
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