冷たい上司の温め方
第1章
就職活動難航中
毎日が勝負の日だった。
まだまだ景気がいいとは言い難いこのご時世。
就職活動は難航した。
一般的にはもう決まっていて当たり前の九月。
それでも内定のない私は、残っている少数の枠を目指して、就活を続けるしかなかった。
「はぁ」
資料請求のメールを一体何通出しただろう。
ひたすらつながりを求めて、全然会ったこともない大学の先輩にOB訪問したこともある。
だけど……あまりためになることはなかった。
「ホント最低。会社の話なんて全然してくれなくて、ホテル行こうかだってさ!」
この間の人は、本当にひどかった。
見た目はまあまあ好青年だったのに、ソレしか頭にない残念な人。
同じ大学出身なんて、吐き気がする。
「あら、いいじゃない。もうさ、就職より婚活よ。
実際OB訪問で恋人ゲットって人も多いらしいよ?」
ひときわ冷静なのは、実家がかなり裕福な聡子(さとこ)。
就職できなきゃ、家事手伝いよなんて余裕の顔がうらやましい。
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