冷たい上司の温め方
だけど、遠藤さんの掃除に対する真摯な姿勢を見ていて、新人だからと甘えていてはいけないと感じた。
それに……トイレで毎日のように悪口を聞いていた私は、浮ついた気持ちでは、つぶされてしまうとも感じていた。
だから、気持ちが引き締まったというか……やってやる!と強く思うようになったのだ。
「もしかして、新人さん?」
次に声を上げたのは笹川さんだ。
「はい。麻田です。よろしくお願いします」
「よろしく。笹川です。へぇー、意外だった」
意外?
なにがだろう。
「部長にあいさつに行くぞ」
笹川さんとろくに話もできないまま、楠さんに連れ去られる。
「おはようございます。話していた麻田です」
「麻田美帆乃です。よろしくお願いします」